糖質制限における生化学的アプローチと題して
※真面目に理解したいなら図書館で生化学の本を見てください(ヴォート、ストライヤーなどなど)一番下に超シンプルにまとめてあります
糖質制限についてインターネットを調べると、糖質制限の目的とは糖質を制限することで、インスリンの分泌を抑えるとある。インスリンの働きを列挙する。
・全身全ての臓器細胞にブドウ糖を取り込ませる
・肝臓や筋肉でブドウ糖からグリコーゲンが合成されるのを促進する
・貯蓄されているグリコーゲンの分解を抑制する
・脂肪組織で脂肪が合成されるのを促進したり、脂肪の分解を抑制する
以上がインスリンの働きである。今回注目するのは一番下の「脂肪組織で脂肪が合成されるのを促進したり、脂肪の分解を抑制する」というこの項目である。
- 1-2,脂肪の代謝
そもそも脂肪はどのように代謝されるのか。
脂肪は活性化され脂肪酸となり、その脂肪酸はβ酸化によりC2単位ずつ短くなる。そのC2単位はアセチルCoAとしてクエン酸回路に運ばれ、NADH、FADH2となり、電子伝達系でATPが合成されエネルギーとして利用される。この工程は脂肪酸酸化と呼ばれる。
生体内では基本的に逆向きの反応もあり、脂肪酸の合成も行われる。脂肪酸合成はアセチルCoAをアセチルCoAカルボキシラーゼの働きによってマロニルCoAになり、アセチルCoA、マロニルCoAの二つによって脂肪酸が合成される。この二つのアセチルCoAとマロニルCoAから脂肪酸シンターゼの酵素反応によって脂肪酸が合成される。
グルコース濃度を調整するホルモンであるグルカゴンとインスリンは脂質代謝にも影響し、脂肪酸の酸化と合成を調節する。応答時間が1分以内の短期調節では、アセチルCoAカルボキシラーゼがパルミトイルCoAとグルカゴンで刺激されるcAMP依存リン酸化の増加で阻害され、クエン酸とインスリンで誘発される脱リン酸化により促進される。数時間から数日を要する長期調節では、アセチルCoAカルボキシラーゼと脂肪酸シンターゼの合成がインスリンで促進され、絶食で阻害される。食物に多飽和脂肪酸があってもこの両酵素の濃度が減少する。リポタンパクに結合する脂肪酸を脂肪組織に取り込んで貯蔵するときに最初に働く脂肪組織のリボタンパクリパーゼの量もインスリンで増加し、絶食で減少する。一方、心臓のリボタンパクリパーゼはリボタンパクの脂肪酸を心臓組織に取り込んで参加する目的で働き、インスリンで減少し、絶食で増加する。絶食や規則的な運動は血中グルコース濃度を減少させ、身体のホルモンバランスを変える。その結果、長期調節で脂肪酸酸化系の酵素濃度が増加し、脂質の生合成系の酵素濃度が減少する。
- 1-4,まとめ
1-3,で言ったことは専門の人でもないと理解できないと思われる。現に自分でも怪しい。そういうわけでわかりやすくホルモンだけに絞って抽出してみよう。
・グルカゴンがアセチルCoAカルボキシラーゼを阻害→脂肪酸合成阻害
・インスリンがアセチルCoAカルボキシラーゼを促進→脂肪酸合成促進
・インスリンがアセチルCoAカルボキシラーゼとクエン酸シンターゼの合成を促進→脂肪酸合成促進
・脂肪を貯蔵するためのリボタンパクリパーゼをインスリンが増加させる
つまり、グルカゴン/インスリン比は脂肪酸代謝の方向と速さを決める。
そして、インスリンは糖分の摂取により分泌されるので糖分の摂取を控えようというわけだ。
- 1-5,さらにわかりやすく解説
中学・高校の家庭科に高校の生物基礎を加えた程度の誰でもわかる解説にする。
脂肪は体内で脂肪酸とグリセリンに分解される。その脂肪酸はインスリンによって貯蓄される方向に促進され、グルカゴンによって消費される方向に促進される。これだけである。