小さな村の定食屋

Georgeおじさんがお話書いたり、グルメリポしたり、好きなことする場所

目の前に猫がいた。黒く痩せこけた猫だ。

猫は手に持ったコロッケパンをじっと見つめていた。
野良猫に餌はやれないから、そのまま通り過ぎた。
振り返ると猫はこちらを見つめていた。
 
一月経った。
目の前にはまた猫がいた。目の光は影を潜めていた。
猫は手に持ったコロッケパンをじっと見つめていた。
野良猫に餌はやれないから、そのまま通り過ぎた。
振り返ると猫は向こうに歩き始めていた。
 
また一月経った。
目の前にはまた猫がいた。目はくすんでいた。
猫は手に持ったコロッケパンをじっと見つめていた。
野良猫に餌はやれないから、そのまま通り過ぎた。
振り返ると猫はもういなかった。
 
さらに一月経った。
猫が車に轢かれた話を聞いた。
黒く太った猫だったそうだ。
振り返るとそこに猫がいる気がした。