予想記事を読んでくださった方ありがとうございました。
競馬オタクの方で共有したら想像以上に見てくださったので感謝感激です。
ただ、予想の方は大分ズレたのでその理由を振り返ります。だいたいモズスーパーフレアの話になると思う。
件の記事はこちらから。
さて、記事内で過去のスプリンターズSを分析した際の文章がこちら。
「ここ3年でスプリンターズSはラップタイムの前傾化が進んでいる。近2年はモズスーパーフレアに依るもの。2018~2015は現在のスプリント戦線と比べると一段階以上レベルは低く、2018は特に弱かったように感じる(ファインニードルは抜けて強かったが )。
過去の傾向から読み解くならここ2年の記録だけを参考にすれば良く、それ以上前はアテにならない気がする。どうやっても前傾になる中山で前半3Fの方が遅いレベルなので。
一方、ここ2年のスプリンターズSからは考えさせることがとてつもなく多い。この2回のレースは似ているようで対比のようなレースになっている。」
要は、前傾のハイペースの中で、前が残る馬場なのか、後ろからの差しが届くかを見極めるゲームだと思っていた。
そして今年の結果は以下のグラフで確認して欲しい。
そう、ペースが速くならなかった。
前半33.3ー後半33.8の前傾0.5秒、実質このメンバーでこれはスローペースだった。
準OP以上のレースでは前半33.3はそこそこ発生するが、前傾0.5秒と言うことはほぼ起こらないためそういう点で異例だったと言える。
ペースが速くならなかった、だから予想と外れました!おしまい!
でも勿論良いのだが、ペースが速くならなかった理由を探ることこそ、次の予想へのヒントがある。というわけで、モズスーパーフレアを中心にペースがこうなった理由を考察していく。
モズスーパーフレアはここ2年、シルクロードS→高松宮記念→北九州記念→スプリンターズSと同じレースを使ってきている。過去の経験から間隔を詰めると良くないことがわかっていたため、G1のトライアルより前の重賞を使っている。2020のシルクロードSは京都、2021のシルクロードSは中京で行われた。
このグラフでは寒色系が2021年、暖色系が2020年のレース結果を表している(学術的にはやってはいけない配色)。
2020年はテンのスピードが概ね速く、他の馬にどこまで脚を使わせるか、という競馬をしていた。だが、スプリンターズSはビアンフェとのやり合いで暴走気味、かつ内ラチ沿いが荒れていたために差し馬の餌食となった。
この時点ではモズスーパーフレアは良くも悪くも競馬場の特性を前面に押し出したレースをしていた。コースのアップダウンを利用し、内ラチ沿いのトラックバイアスに左右されるレースだったが、共通して言えるのはそのスタイルが「能力のごり押し」であること。そのことに気づいておくべきだった。
さらに、今年のシルクロードSにも触れておくべきだろう。根岸Sとの同日開催で、モズの主戦である松若Jは根岸Sのサンライズノヴァの先約があり(出走は取り消した)、北村友一Jに乗り替わった。北村友Jはハイペースな逃げを行ったが直線の進路は真ん中でずるずる後退していった。ラチを頼らない、普段とは異なる競馬をしたとはいえ負けすぎである。この時点で能力の衰えが出ていたかもしれない。
その後のモズスーパーフレアは高松宮記念、北九州記念とぶっ飛ばさない逃げを選択した。言わば二段エンジンで走るのを見込んでいた。しかしモズの血統を見ればなんとなくわかるが、そんな事が出来る馬ではなかった。前が速くないのに、後半3Fは今までと変わらないため、後続馬の脚は十分に発揮されてしまっている。
スプリンターズSではモズは結局早くしすぎない逃げを選択した。次に問題になるのがビアンフェの走りだろう。ビアンフェは早々に2番手の位置をキープすることにした。昨年の自滅をもう一度やるのは良くないと判断したのだろうが、だとしたら前走の函館SSは何だったんだ?結局モズを交わすことは出来ず入線した。ビアンフェ自身もモズと同様トラックバイアスに左右され、競馬場の特性を活かすタイプのスプリンターであろう。過去のレースでもハナを切ったときに好走しており、番手では悉くダメなのでそれを陣営、鞍上が理解し切れていなかった。
函館SSのレース後のコメントで「逃げて後ろから差を詰められても粘りを見せるのがこの馬の良いところ」と言っているんだけども・・・。
以上の観点から
・モズスーパーフレアは速くない逃げを選択する
・ビアンフェは去年の経験から控える
この2点を捉えていればスローペースのレースになることを想定できたかもしれない。
スプリントでスローの流れになれば内先行有利は間違いない。
ピクシーナイトは上手くゲートも出て、圧力を受けることなく自然に3番手を取ることが出来た。一方、この位置に本来来るはずだったのはファストフォース、状態面なのかレースに参加することが出来なかった。外枠ながらもレシステンシアは位置を確保したが驚きなのはシヴァージ。シルクロードSでは福永Jがポジションを取りに行った、と明言していたが、それが出来るくらいスタートが改善し二の足がつく馬であることを認識するべきだった。安土城Sも二の足がついていたが騎手は促さずにポジションは後ろだった。やろうと思えばやれた馬で、やってくれたのが吉田隼人Jだった。
ピクシーナイトは福永Jが能力を認めていたし、レシステンシアの能力をルメールは性格に把握していただろう。スプリントレースは騎手の力でどうにか出来る部分は少ないが、邪魔になるようなことをしてはいけない。馬の力を正確に見極めることと、レースに勝つにはどうすれば良いか考えることが求められると、改めて認識する結果となった。